Newsroom
30.10.2017

都市型モビリティ向け48Vコンセプトカー「MEET」: 効率性・快適性・俊敏性・低コストを追求

2017年10月、東京:マーレは、独フランクフルトモーターショー(IAA)2017でコンセプトカー「MEET」(MAHLE Efficient Electric Transportの略称)を世界初公開しました。「MEET」は都市型モビリティのニーズに応えて設計された車です。コンセプトのベースとなったキーワードは、「究極の効率性」、「車内快適性」、「運転の楽しさ」、そして「低コスト」です。

  • 優れた効率性:充電なしで、一週間の市街地走行が可能。
  • 快適性:乗員個々の快適性確保と環境負荷低減を両立。
  • 運転の楽しさ:アジリティ(俊敏性)に優れた街中走行を実現。
  • 低コスト:パワートレインのコストを25%削減。

効率性と高い統合性:マーレ「ツインパワー・ドライブユニット」

コンセプトカー「MEET」 は、マーレが新たに開発した48Vツインパワー・ドライブユニットを採用しています。2つの電動モータとトランスミッション、そして48V対応の電子システムを搭載。マーレのIPMモータ(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)採用のトラクションドライブが、幅広い速度域に対応した、優れた効率性とダイナミクスを発揮します。初期モデルでは、14kWの連続出力と36Nmのトルク性能を有するモータが採用されていましたが、今回披露された「MEET」では更にモータ性能を進化させ、連続出力20kWとトルク80Nmを実現しています。駆動方式はトランスミッションを介した後輪駆動です。

快適性と航続距離の両立:充電なしで一週間の走行を実現

都市型モビリティをテーマにした「MEET」が、技術的な優先課題の一つに据えたもの、それが究極のエネルギー効率です。様々な省エネ技術をパワートレインとサーマルマネージメントに応用 し、エネルギー効率の最大化を実現。この結果、航続距離を飛躍的に伸ばすことが可能となりました

100%電動化されたパワートレインを搭載した車両に共通する課題の一つは、「熱源」の問題です。特に冬季の車内暖房は、最大の課題です。電動化により排気ガスの問題は解決します。しかし、それと引き換えに内燃機関という重要な熱源を失った影響は小さくありません。その結果、空気を加熱するなど温度調整の必要性が増加することで、バッテリーへの負荷が増大します。これが車両の航続距離を制限する原因になっているのです。

こうした背景を踏まえ、「MEET」は、快適性に妥協せず、むしろ快適性を高めながら効率性を最大化することを、最優先課題として開発されました。マーレは、車内空間を二つに分けて空調管理を行う「デュアルゾーン空調システム」を採用。これに加え、乗員それぞれの快適性を向上させるために熱電式ヒートポンプやシートヒータなどのインテリアヒータを搭載。こうした様々な対策を組み合わせることで、熱効率の向上を達成したのです。その結果、市街地走行では、1回の充電で最長一週間、快適なドライブを楽しむことができるようになりました。航続距離は、夏季で5%、冬季で最大50%の改善を達成しました。

運転の楽しさを表す新たなキーワード:「加速反応性」、「俊敏性」、「直感性」

市街地走行では、最高速度の高さは重要ではありません。搭載するモータの種類にもよりますが、40kW~60kWの最高出力で「MEET」は各速度域に応じた優れた加速反応性を発揮。キビキビとしたドライビングを実現します。「MEET」のベーシックモデルでは、5秒間で時速0キロから50キロまで加速します。最高出力30kWのマーレ最新のモータでは、この加速時間が3秒以下まで短縮されます。この車両はマーレが開発した「ツインパワー・ドライブユニット」による「トルク・ベクタリングコントロール」を採用し、優れた俊敏性を実現しています。2つの電動モータが駆動車輪へのトルク伝達を個別に制御し、操舵性や駐車時の操作性能の向上に寄与しています。

車両には多種多様な機能が搭載されています。ドライバーが運転に集中したまま、すべての機能を操れるよう先進の技術が採用されています。「MEET」は、直感的でシンプルな操作性を追求しています。ナビゲーションや音楽プレーヤーの操作、空調温度の設定や車両データの確認に到るまで、難しい操作は不要です。ここで登場するのがマーレの子会社BHTCの技術です。操作のコンセプトはタッチレス。「ジェスチャー・コントロール」をベースとし、触覚フィードバックを採用しています。また、乗員それぞれに対応した空調やシートヒータなどの設定、車室内の事前空調などをバッテリー充電中にスマートフォンアプリを使って行うアイデアなども盛り込まれています。

低コスト:消費者目線の設計

先進の技術を搭載した「MEET」。しかし、アフォーダブル(手頃)な価格を実現するために、低コストを追求しています。低コスト化を支える鍵は以下の通りです。

  • 「MEET」は、プラットフォームの共用を基本に設計されています。多種多様な車両コンセプトに流用できる、設計自由度に優れたモジュール技術を幅広く採用しています。
  • 部品設計にはスケールメリットが考慮されています。例えば、ドライブユニットモジュールは、48Vハイブリッドシステムの電動アクスル(電動パワートレイン)として使用することも可能です。また、「MEET」に搭載した技術は、いずれも量産化することを念頭に開発されています
  • 48Vシステムは、より高電圧なシステムに比べ安全対策を講じる必要が少ないため、車両コストを25%程度抑えることが可能です。

マーレの英知を結集し、e-モビリティの新しい可能性を開く

MAHLE Efficient Electric Transport「MEET」は、未来の都市型モビリティに向けたコンセプトカーです。このコンセプトカーを通じて、自動車業界が今抱えている様々な課題に対する解決のアイデアを提案しています。マーレには、サーマルマネージメントからパワートレイン、電子部品、そしてユーザーインターフェースに至るまで、幅広い分野に渡る豊富な製品ラインナップと知識・経験があります。それを結集したのが、この「MEET」です。マ ーレは、「MEET」を通してe-モビリティの新たな方向性を創造します。

マーレグループについて

マーレは、自動車業界のグローバル開発パートナーです。未来のモビリティに向けて、技術革新をすすめています。マーレグループは、より効率良く、環境に優しく、快適な運転を追求するために、内燃機関の更なる最適化、代替燃料の推進活用、eモビリティの世界的な普及に努めています。パワートレイン、フィルターや潤滑、エアコン技術、バッテリー分野においてユニークなシステム技術を提供し、全世界で生産されている車両の2台に1台に製品を供給しています。また、世界のレーストラックやオフロード、産業用・汎用エンジン、船舶、鉄道など自動車以外の多岐にわたる業界でも長年にわたり活用されてきました。

1920年にドイツの小さな町工場で設立したマーレは、2016年度の売上高が約123億ユーロに達しました。現在、世界34ヶ国、170の生産・営業拠点で、77,000人が従事しています。グローバル開発パートナーとして、ドイツ、英国、ルクセンブルグ、スペイン、スロベニア、米国、ブラジル、日本、中国、インドで展開している主なテクニカルセンター16ヶ所で、約6,000人のエンジニア・技術者が革新的なソリューションのために日々取り組んでいます。

お問い合せ先:

マーレジャパン株式会社
広報担当 ジュディアン・ゴ(日・英)
Tel: (03) 6735-8413
judy-ann.go@jp.mahle.com

Press release
PDF
217 KB
Press pictures
ZIP
56.6 MB