CNGとダウンサイジングによりCO2排出量を30%以上低減

ダウンサイジングと圧縮天然ガス(Compressed Natural Gas - CNG)の組み合わせにより、CO2排出量を著しく低減させることができます。マーレは、改造ダウンサイジングエンジンをデモベンチ及び実クルマを試験し、その存在的な可能性とそれに伴う課題を評価しました。エンジン設計を最適化することで、CO2排出量を最大31%削減することが可能です。

CNG駆動車はすでに何年も前から様々なメーカーによって市場導入されています。それらのエンジンは元来通常の燃料を使用するように設計されており、そのため、燃料を変更するだけでCO2発生量が著しく減少し、最大24%の改善が可能です。しかし今日でもCNG車の数は比較的少なく、このことがCNGエンジン固有の開発による最適化の推進を妨げています。

マーレは、ダウンサイジングとCNGとの組み合わせにより、CO2排出量をさらに低減させる可能性を見出しました。その第一歩として、既存のマーレダウンサイジングエンジン(1ステージ過給3気筒直噴式ガソリンエンジン、排気量1.2L)を、天然ガスとガソリンのバイフューエル運転が可能となるように適合しました。そのために圧縮比を12.5:1にまで高め、CNG吸気ポート噴射を実装しました。このエンジンをテストベンチで試験し、結果を適用し、次いで実験車両に組み込んで試験しました。第1段階の目標は、バイフューエルエンジンの可能性と限界を探ること、改善の余地のある領域を知ること、及びそれらのための要件を確認することでした。その結果に基づく第2段階では、最適化されたモノフューエルエンジンを設計し、それに必要なエンジンのシステムと部品のアプリケーションを実装する予定です。

CNGはガソリンよりもノッキングを起こしにくく、このことはまず基本的にダウンサイジングに好都合です。CNGはノッキング傾向が小さいため、点火時期を早め、圧縮比を増大させることが可能になります。しかしそれによって燃料室内の圧力と温度が増大し、エンジン部品の負荷がそれだけ大きくなります。最高の性能のための要求を満たすには、部品をこのような条件の変化に適合させるとともに、そのために必要な周辺条件を正確に理解する必要があります。マーレはモノフューエル仕様に対して、エンジン部品に要求される高度な耐圧性及び熱伝導性を確保するため、次の技術の適用を計画的に入れています。

  • ピストン: EVOTEC® RSC 軽量化ピストン。鋳込み耐摩環と冷却チャンネルを備え、高い安定性と最適な冷却を結合。combines high stability and optimal cooling due to its cast-in ring carrier and cooling channel.
  • リングセット: 3部分からなるオイルリングを含め、摩擦損失と摩耗を最適化したリングセット。
  • コンロッド: 増大した面圧をより有効に分散できるテーパー型コンロッドと圧入ブッシュ(軸受メタル)。
  • バルブ: 熱的安定性を向上させる目的で、ナトリウム封入冷却し、ボトムプレートを強化したTopTherm® バルブ。
  • ピストンピン: DLC(Diamond-Like Coating)処理ピストン。
  • ベアリング: ポリマーコーティング付きコンロッドベアリング及びメインベアリング。

マーレにおけるエンジン試験の結果、CNGダウンサイジングエンジンの性能に現時点で制約がある領域、すなわち適切な対策によって顕著な改善が期待できる領域が3つ見出されました。

低回転域では、天然ガスを使用時のエンジンの出力は最新のガソリン直噴エンジンよりも低くなります。これは、天然ガス使用時の吸気ポート噴射では、掃気燃焼プロセス(スカベンジング)、すなわしインテークバルブとエキゾーストバルブの開放タイミングを一部オーバーラップさせてターボチャージャのレスポンスを改善する工法が利用できないためです。また吸入された空気の一部がガスで置換されるため、シリンダへの充填量が減少します。この現象を補償する方法の1つは、CNG吸気ポート噴射に可変タービン方式のターボチャージャを組み合わせることです。あるいはCNG直接噴射と最適化されたウェイストゲート方式のターボチャージャを組み合わせることにより、実際の走行時に重要な回転域での出力を改善することも可能です。マーレは今後の試験車両においてこれらの両方式を検討し評価する予定です。

中回転域では、基本的にシリンダピーク圧の限界と部品の仕様諸元的な限界から多大な影響を受けます。ここでは125barから最大185barのピーク圧を保持しなkればなりませんが、前述のマーレのエンジン部品を使用すれば可能です。

高回転域では、主として直噴インジェクタシール及びシリンダ部品への熱負荷によって出力が低下します。エンジンをCNGのみでガソリン直接噴射を行わないモノフューエル運転のみとし、エンジン部品をそれに従って最適化すれば、規定回転での公称出力を大幅に向上させることができます。

基本エンジンに上記の改良を施すことにより、185barのピーク圧に対して必要とされる耐性および温度限界の向上を実現できることが、計算とシミュレーションによって示されています。これにより、マーレダウンサイジングの比出力100kE/l及び公称トルク270Nm(1600prm以上で)が、CNGモノフューエル運転でも実現可能です。空車重量1700kgのファミリーバンであればCO2排出量は約106g/kmとなり、同性能の現行のガソリンエンジンモデルを31%近く下回ります。.

  • 既存のマーレダウンサイジングエンジンを、天然ガスとガソリンのバイフューエル運転が可能となるように適合させました。このエンジンをテストベンチで試験し、結果を適用し、デモ車両に搭載して計測しました。
  • その結果に基づく次の段階では、最適化されたシステムや部品を備えた、モノフューエル運転に最適なエンジンの設計を進める予定です。
  • 基本エンジンの改良により、185barのピーク圧に対して必要とされる耐性及び温度限界の向上を実現できることが、計算シミュレーションによってすでに示されています。
  • ダウンサイジングエンジンでは、CNGのモノフューエル運転において比出力100kW/l、公称トルク270Nmが実現可能です。
  • エンジンの設計を最適化することにより、実験用車両におけるCO2排出量は最大31%削減されています。