サーモエレクトリックス:バッテリー温度制御の技術

バッテリープレートに内蔵された熱電式ヒートポンプによるバッテリー温度制卸技術は、従来の空調システムによる冷却及びヒータによる加熱技術に代わる新しい温度制御方法です。 マーレグループの先行開発部門による3年間にわたる研究開発の上、量産対応技術となりました。

特徴

リチウムイオンバッテリーは必要な耐久性を満足するため、使用温度を約0℃~45℃に保つ必要があります。高外気温時にはエンジン冷却システム能力限界に達してしまうため、現在、空調システムを利用してバッテリーを冷却しています。また、冬季はバッテリー加熱のため、温水加熱ヒータまたはフィルムヒータなどが必要になります。最近では熱電式ヒートポンプを用いたバッテリー温度制卸技術が注目されています。この技術は、熱電式ヒートポンプが冷却と加熱、両方の機能を持っていますので、空調システムに頼らず、簡単かつコンパクトな設計を実現できます。

熱電式ヒートポンプではペルチェ効果が利用しています。熱電式モジュール(ThermoElectric Module: TEM)は通電方向によって、TEM上の熱を一方から他方に移動させることができます。すなわちTEMの一方が加熱され、他方が冷却されます。熱電式(TE=ThermoElectric)バッテリープレートは複数のTEMから構成され、一方は熱拡散板を介してバッテリーセルに接続、他方は水冷回路内の冷却プレートに接続されています。熱電式ヒートポンプを電子制御することで、電気エネルギーによりリチウムイオンバッテリーを直接冷却または加熱します。

熱電式バッテリープレートに不可欠なTEMは、各国で様々なメーカーが生産しています。その基本材料は同等ですが、内部構造には大きな差違があり、それが耐久性に影響します。そのためマーレは、自動車用として必要な仕様を満足するために、TEM実験設備を導入し、各種TEMのパラメータ確認及び評価が可能です。さらに、この設備で各メーカーのTEMを異なる環境条件で各種試験を行うことができます。このように熱電方式は、特にマイルドハイブリッド車や電気自動車において、空調システムに頼らず、さらに加熱機能を内蔵している点で、空気、冷媒、クーラントを用いる従来のバッテリー温度制御システムに比べて大きな利点があります。この技術の実用化には、熱力学のほかTEMとその制御、耐久性、熱交換器との一体化についても十分な理解が必要です。これらを総合的に考慮して初めて、コスト、重量、パッケージの面で魅力的な製品を作ることができます。

  • 熱電式(TE=ThermoElectric)によるバッテリー冷却には、いわゆるペルチエ効果が利用されています。
  • この方式には、自己発熱機能、空調システムに頼らない独立性、簡素な設計仕様、コンパクトなデザインなどがメリットになります。