ピストンシステム

現代のガソリンやディーゼルエンジンは、出力レベルが上昇しています。そのため、これらエンジンに搭載されるピストンは、大幅に増加する熱や機械的な負荷に晒されています。その一方、エンジンの高効率化を目指して、ピストンも軽量化や低磨耗化の要求に応えなければなりません。マーレは高いストレス抵抗性を有するピストンをラインアップに揃え、ガソリン・ディーゼルエンジン双方の燃費向上に貢献します。

製品ラインナップ

ガソリンピストン

ガソリンエンジン用の高性能ピストンは、ここ数年需要が高まってきています。エンジンの高性能化を支えるためには、熱負荷への高い耐久性が求められます。また、ダウンサイジングが進んだことで、平均有効圧力、最大有効圧力が共に増加したほか、ピストンの高速化で慣性力も高くなっています。

こうした技術的な課題に対し、マーレは長い歴史の中で培った経験とノウハウを活かし、革新的なソリューションを提供しています。また、未来のニーズに応えるため、既存製品の継続的な改善に努めています。

鍛造ピストン

先進技術が常に求められるモータースポーツの世界。そこで培われた技術により開発された鍛造ピストンが現在、量産エンジンに採用されています。鋳造ピストンと同じ合金を使用しながら、その構造をミクロ単位までより精密に仕上げたのが鍛造ピストンです。その結果、ピストン強度が飛躍的に向上し、モータースポーツで求められる高負荷環境や、高出力エンジンにも対応する耐久性能を実現しました。既に130 kW/L以上の高出力スポーツカーには、鍛造ピストンが搭載されています。この他、鍛造ピストンには薄壁化の可能性も見込まれており、軽量化につながる技術としても期待が寄せられています。

パワーセルユニット(PCU)

近年のエンジンの高性能化により、シリンダー部品の動作環境も高温化・高圧化が進んでいます。過酷な環境に対応し、かつ、排気ガス排出量の削減に貢献していくためには、革新的な技術アプローチに加え、これまで以上に高性能な材料を開発することが必要です。

マーレは、リング/ピン付きピストン、シリンダーライナー、ベアリングシェル付きコンロッドをすべて一体化して「パワーセルユニット」として提供いたします。システムとして供給することで、デザインの調和を高め、お客様の組立工数を削減します。コスト効果が高く、ロジスティック効率に優れたソリューションを実現します。

ディーゼルエンジン用ピストン

近年の乗用車用ディーゼルエンジンには、以下のような性能が求められています:

最大燃料圧力2,200 bar、平均有効圧力31 bar、最大有効圧力210 bar、排気量1リッター当たりの最高出力100kW、最高レベルのCO2排出量低減対応。

エンジン内部で発生する高温・高圧の過酷な条件に耐える性能を実現するため、マーレは乗用車用ディーゼルピストンに、アルミ製とスチール製の二種類のピストンを開発しました。